不良の有岡について。

心の中で舌打ちをして哀河の足首を掴む。

それでも手を伸ばして携帯を手にした哀河はきちんと電話に出た。

相手、怒田か廿楽だったらおぼえてろ…。


「もしもし、こんにちは、お世話になってます」


口から出た敬語に、哀河に覆いかぶさる。
携帯を挟んだ向こうに顔を埋めると、電話相手の声が聞こえた。


『ごめんね、今日創立記念日なのに…』

「あ、いえ、何かありました?」

『ちょっと瞬くんとお友達が…』


前言撤回。

相手は俺の義理の姉貴。哀河の弟の幼稚園の先生をやっている。


「ごめんなさい、すぐに行きます」


そんなことを考えているうちに、大事な部分を聞きそびれた。



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