不良の有岡について。
俺は腕を外して、哀河の体も一緒に起こす。
「ごめん、ちょっと幼稚園行ってくる」
「あ、もうそんな時間か」
時計を見る。その為だけに電話をかけてきたとは思えないけど。
「弟が喧嘩したって」
目を細めた哀河は一気に機嫌が悪くなった。
機嫌が悪い哀河を見るのは本当に珍しい。
弟が喧嘩か。まあ、男だし、まだ小さいし。
服を整えた哀河の後に続いて俺も幼稚園までついていく。
まだ迎えにくる親は少ない。というか、あんまり居ると高校生の俺等は結構浮く。
哀河はそんなのは気にしないのか、園内に入っていく。
気にしてないというか、見えていないというか。