不良の有岡について。

どんなのって、


「すげー濃いラブシーンが入ってるの」

「…」

「とか言ったら、一緒に見てくれんの?」


口を噤む姿が可愛くて、なんか笑える。

そして、聞こえた溜め息に振り返れば、膝の上で頬杖をついている。


「この部屋来るの哀河が初めてだから。一緒に見たこともないんだけど」

「…なんか、狡い」

「あ?」


目を逸らしながら言う。


「今まで、有岡の元カノとか仲良い女子とか、そんなの気にしてなかったのに。今更になって気にするの狡いって思う。でも、やっぱり気にする自分が居て」


だから、私って狡い。



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