不良の有岡について。



「もうちょっと、こっち来て」

「…む、りっ、できな、い」


吐息混じりに言う。

俺はベッドの上で壁に寄りかかりながら、逃げそうな哀河の背中を支える。


「近寄んないと抱き締めらんねえ」

「本当に、もうむり」

「じゃあずっとこのまま、」

「有岡…おねがい、」


この状況でお願いとか逆効果。

それはきっと離して欲しい、のお願いなんだろうけど。

ぐっと背中と太腿を近付けた。嬌声と卑猥な水音が響いて、哀河は泣き出した。


「痛い? ごめん」


でも絶対に離さないのは俺の意地。



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