不良の有岡について。

散々動物園の説明をした弟は疲れたのか、ソファーで眠ってしまった。深沢さんが毛布をかけて、話す。


「動物を見てる時も、おねーちゃんはこの動物知ってるかな? って、言うんですよ」

「それは想像つく」

「この子のおねーちゃんを奪っちゃ、だめですよ」


分かってるよ、深沢さん。

深沢さんはキッチンに戻った。俺も部屋に行って、未だ眠っている哀河の前髪に触れる。

パチリと目を覚ます。思えば、哀河が眠っている姿なんて初めて見たかも。


「おはよ」

「…おはよ、ございます」

「弟たち帰ってきた。んで、もうすぐ夕飯」


もうそんな時間かと、哀河が時計を確認する。

隙をついて枕の横に手を置く。リップ音をたててキスをした。


「…お腹空いた」




ほらな、哀河はかなりずれてる。









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