不良の有岡について。
まぁ、なんか力に成れれば良いな、と。
そう付け加えた怒田は、手すりに凭れながら肩を竦めた。
「ありがと。」
やっぱり怒田は強いと思う。
誰かが座り込んでたら、ちゃんと手を差し伸べる。差し伸べて立ち上がらせてあげる。
それは、誰にでもある強さじゃない。
「あと、有岡となんかあった?」
何かあったような、何もなかったような。曖昧に首を傾げると、声が続く。
「あいつが自分から挨拶するとか珍しいから。それも、哀河に。」
「そうなの?」
「そうだよ。」
春の木漏れ日が、高い窓から入ってきて廊下に反射する。