不良の有岡について。
ふわふわと撫でるような風もあるし、この丁度良い気温に午後の授業は眠くなると思った。
数学は眠ったら分からなくなると目に見えているのに。
私に有岡のことは関係無い。彼が誰に挨拶しようともしまいとも、私には何の支障もきたさない。
でも、もしも有岡が次に弟に会った時、冷たい反応をして弟が傷つくのは避けたい。
今は、私にとって有岡はそういう存在だ。
「まぁ、でも嫌いではないかな。」
「誰の話?」
にょ、と曲がり角から顔を出したのは廿楽。
「今ホラー映画みたいだった。廿楽お菊すげー。」