不良の有岡について。
そういえば、ここから電車乗って帰る距離なんだっけ?
わざわざ家の前まで一緒に来てくれたらしい。
じゃあ、と弟に手を振ってこっちに背を向けたところで、声をかける。
「今日、カレーだけど。」
振り向いて、さっきのキョトンとした顔がもう一度見られた。
「食べ、」
ポツリと頬に何か当たった。涙なわけが無くて、空を見上げたら。
ザーッと一気に大降りになって、雨が無情にも体を打ちつけた。
このタイミングで?と思いながらも、ドタバタと哀河家へ入っていく。
玄関でびしょ濡れになっている三人で顔を見合わせて、なんか可笑しくて笑った。