不良の有岡について。
サンソガヒツヨウ。
唇を尖らせる弟が近くに立っていた。ハッと気付いて、口を噤む。
「なんでもねえよ、じゃあ俺帰るわ。」
それまで掴まれていた手が離される。有岡が立ち上がった。
「ばいばい、また遊ぼうね。」
「おー、またな。」
くしゃり、と弟の頭を撫でて玄関の方へ歩いて行く。
怒ってる、気がした。
有岡のことなんて関係無い。どうでも良い。機嫌をとらなくっても…。
私も立ち上がる。
既に玄関には居なくて、扉を開けるとすぐそこに背を向けていた。
「…有岡。」
「ん?」
「ごめん。」