不良の有岡について。

言った後で、私って謝れたんだと思った。

「また来て、良いから。」

ピタリと止まっていた体が、こっちを向いた。無表情のまま。

「お前さ、」

ス、と腕がこっちに伸びてくる。胸ぐらを掴まれるのかと思って構えたら、頭に手が乗った。

「他人が風呂入ってる時は一応ノックしろよ。あと、ジャガイモが嫌だからって煮込み過ぎたから溶けたって弟にカレー出すの止めろ。健康が偏る。」

「…お説教…。」

「あと。」

まだあるのか。

有岡の顔を見ると、無表情では無かった。だから、また怖いんだけど。


「俺もちゃんとけじめはつける。」



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