不良の有岡について。
幼稚園まで行くと園庭に姿は見えなくて、園内へ入っていく。安藤先生が廊下を歩いていて、挨拶をする。
「教室で絵本読んでるわよ。」
「一人ですか?」
「ううん。」
笑みを見せながら職員室へ入って行ってしまう。一人じゃない、ということは。
静かに歩いて、弟の教室へ行く。
やはり、そこには片頬に湿布を貼った有岡と絵本を持つ弟が居た。
「…赤鬼は沢山泣きました。おしまい。」
「え、青鬼は?」
「だから、遠くに行って帰って来なかったんだろ。」
「それじゃあ赤鬼がかわいそう。」