不良の有岡について。
購買でメロンパンを買って、全く使われない非常階段に行った。一人で食べる時は、専ら此処だ。
段差に座って、文庫本を開く。
たまに通る生徒も居て気まずいけど、気にしないことにしている。
座った場所から見えるコンクリートの壁の向こうの空は、青かった。
「哀河。」
人の気配無しに声が聞こえて驚く。共に、食べかけのメロンパンをグニャと押し潰してしまった。
「あああっ。」
「あ?」
再度した声に、今度は振り向く。踊場の扉からこちらに来ようとしているのは有岡だった。
何をしに来たのだろう?
考える。