不良の有岡について。

はあ?という顔で、有岡は近づく私を見る。

「なんだよギャップ萌えって。」

「あの、母性をくすぐるらしいあれ。」

いつしか廿楽が言っていた、あれ。

「別に目指しても狙ってもねーけど。何、哀河はくすぐられた?」

いたずらっ子のように肩越しに振り返る有岡。耳にはキラリと光るピアス。

…本当、知らなかった頃との印象が全く違いすぎる。

「くすぐられてません。」

「だろうな。」

「おにーちゃん、おねーちゃんのことくすぐったの?」

きょとんとした顔で弟が小首を傾げる。テレビではエンディングが流れていた。



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