不良の有岡について。
言っている意味が分からない、けど有岡が笑っているからまあ良い。
「じゃあ直接法で行くか。」
英語文法の話?と聞く前に、有岡がフローリングに携帯を置いた。
それに目を取られていて、私は気づいていなかった。有岡に自分の腕を掴まれる寸前だってことを。
掴まれてから気づく。
「ちょ、あ、ありお」
「哀河。」
満面の笑みを見せた。
顎を掴まれて、平然と顔が近づけられた。
伏せた目に、睫毛長いな、なんて呑気に感じたりして。
唇に有岡の唇が重なっていることに、現実味が無かった。