不良の有岡について。


「哀河!」

パチンと目の前で叩かれた両手が視界に映る。その手の向こうに、廿楽が見えた。

「え?」

「ほーら、聞いてない。」

得意げに、いつの間にか廿楽の隣に座っていた怒田に言った。

一体何ごと?

「もうすぐ夏休みだねって話。」

「ああ、確かに。」

「遊ぼーよ!あたしね、海の家でバイトすることになったんだよ。」

へえ、と興味なさそうに怒田がカレーライスを掬った。口に運ばれて、一瞬で無くなっていく。

海の家、と言われても行ったことがないから想像出来なかった。私はメロンパンを千切る。


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