不良の有岡について。
「だから海に行こう。」
「唐突だな。」
「だから海の家でバイトなんだってば。怒田は来なくて良いよ、男ばっかのハンドボール部で夏を過ごせば良いじゃん。」
ふん、と言った廿楽は箸を置いてあたしの手を取る。
行きたいな、と少しだけ思った。でも、家には弟がいる。
置いてけないし、連れて行くのは申し訳ない。
「ね、哀河行こーよー。かき氷奢るから、焼きそばも奢るから、ね?」
「考えとく、うん。」
「奢ってくれんなら行く。」
「怒田には奢らないし!」
廿楽はガタンとテーブルを叩いた。