不良の有岡について。
イミガシリタイ。
「あ、おねーちゃん。」
「…。」
「おねーちゃん?」
弟が心配そうに私の手を握ってくれる。それでも、私の視線は有岡一点に集まっている。
有岡は気まずそうに笑いながらこっちを向いていた。
「今日の献立は?」
「唐揚げだけど……食べる?」
「頂きます。」
…有岡はいつもそうやって。
半分拗ねながら息を吐くと、何でか鞄がかかっている方の手を繋がれた。
「…何?」
「機嫌取り、ってやつ。」
その言い方に、私が一方的に拗ねている感じがしてムカついた。
あっそ、と言って手を離す。有岡はもう手を繋いでこなかった。