不良の有岡について。
有岡は、弟の分の間を詰めてきた。
「…そんな警戒しなくても。」
「昨日、あんな事しなければね。」
じろりと有岡を睨むと、苦笑される。
そして口が開く。
「あれは、ちょっとアピールの仕方を間違えた…んーと、あ。」
「間違えたって。」
「夏休み、海行こう。」
話題の切り返しが早い。私はアイスの棒を唇に当てる。
しかも、それは今日の昼に廿楽に振られたものだった。
「弟居るし、行けない。」
「勿論一緒に、な?」
有岡の見た視線の先には、手鏡を持った弟。目が輝いている。