不良の有岡について。

顔を覗き込まれた。
だから、その気配無しで近づくの止めて欲しい。

同じ段の隣に座った有岡から少し逃げるように、私は体を壁に寄せる。

「なに?」

「ああいう必死な顔もするんだな。」

感心した顔を向けられる。

私の目はその言葉より、ピアスホールが沢山の耳の方へ留まっていたけれど。

…怖。何個あけてるんだろう、この人。

「必死?」

ピアスホールに吸い込まれそうになって、目を逸らした。文庫本は一応閉じる。

「今日の体育のこと?」

言ってて違うな、と感じた。今日はバスケの選手になってない。



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