不良の有岡について。
トモダチダカラ。


廿楽の口がきゅっと結ばれる。

泣きそう。

そう思った。既に目は潤んでいた。


「サンキュ。」

「ああ。」


怒田は受け取ってお礼を言う。


「あ、有岡にそんなこと、言われなくても分かってるし!」


ガチャン、と廿楽が立った拍子にテーブルが揺れる。食べかけのうどんの汁がトレイの中に放り出た。

慌てて怒田が台ふきで拭う。

私は追った方が良いかなと思いながら廿楽の後ろ姿を見ていた。

食堂内の視線がこっちに集まっている。

結局、私は動くことも出来ずに、そのままキウイメロンパンを食べ続けた。



< 84 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop