不良の有岡について。

教室内の廿楽は寡黙。

そして、机に突っ伏した姿勢でいる。

それは私も同様で、話しかけられれば話すけど、自分から話すことは滅多に無い。だからクラスメートの半分も覚えていない。

吐きそうな程嫌い、とは言わないけど、好き好んで居たい場所じゃない。


「…眠ってる?」

「泣いてるのかも。」


放課後、静かにこっちに来た怒田が廿楽を見ながら尋ねる。
かれこれ午後の授業からあのまま。

起きなくて、辛くないのかな。

と思った途端、跳ねるように起き上がった廿楽。

時計を確認して、鞄に教科書を詰め込んで走って帰って行ってしまった。



< 85 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop