不良の有岡について。
教室内の廿楽は寡黙。
そして、机に突っ伏した姿勢でいる。
それは私も同様で、話しかけられれば話すけど、自分から話すことは滅多に無い。だからクラスメートの半分も覚えていない。
吐きそうな程嫌い、とは言わないけど、好き好んで居たい場所じゃない。
「…眠ってる?」
「泣いてるのかも。」
放課後、静かにこっちに来た怒田が廿楽を見ながら尋ねる。
かれこれ午後の授業からあのまま。
起きなくて、辛くないのかな。
と思った途端、跳ねるように起き上がった廿楽。
時計を確認して、鞄に教科書を詰め込んで走って帰って行ってしまった。