不良の有岡について。
一瞬の出来事に、私と怒田は顔を見合わせた。
多分、今日もバイトなんだろう。
「じゃあ、俺も部活行ってくる。」
「行ってらっしゃい。」
そう言って、別れた。
園庭に行くと、ジャングルジムに登る弟と有岡の後ろ姿が見えた。
いつも思うけど、私より着くのが早い。駅からの抜け道とかを知ってるのかもしれない。
「あ、おねーちゃん!」
ぶんぶんと手を振る。落ちそうで怖い。
私も手を振り返すと、有岡が振り向いた。
「廿楽に謝った方が良いよ。根に持つタイプだから。」