不良の有岡について。
ってゆーか、噛みつきたい衝動って何?この男はライオンか何か?
「意外に頑丈だから大丈夫。」
後ろ首に当たる有岡の髪の毛がくすぐったい。多分つけていると思われる香水の香りが、移るんじゃないかと思った。
リビングの方を見たら、弟がテレビに集中している。そのまま振り返らないで欲しい。
有岡が離れた。
気が済んだらしく、弟の隣に戻っていく。
一体何だったんだろう。
首を傾げながら、皿洗いを始めた。
「…やっぱり移ってる…。」
有岡はいないのに、有岡の香りだけはした。