ケモノ女が愛するオトコ〜草食男子の扱い方〜
「藤崎、やったな!」
先輩や同僚達が試食を頬張り口々に彼を褒める。
「ありがとうございます」
「決まるといいな」
「はいっ」
………。
私はそんな彼から目を逸らすと、静かに立ち上がり会議室をそっと出た。
――屋上に出て景色を眺める。
風が髪を舞い上がらせる。
……何故だろう。
モヤモヤと落ち着かない自分に疑問を感じる。
一番に駆け寄って祝ってあげなくてはならないのに。
まさか、彼に嫉妬してるの?
いいえ。悔しくなんてない。
私も嬉しいし、誇らしいわ。
じゃあ何故………?