ケモノ女が愛するオトコ〜草食男子の扱い方〜
「千歳!」
私を呼ぶ声に私の動きがピタリと止まる。
私は桐山の身体の上に馬乗りになったままの体勢でゆっくりと振り返った。
…息を切らせて私を見つめる男。
その目は相変わらずの輝きで……。
「…藤崎…」
「……何…してるの?」
「……あ…」
私にゆっくりと歩み寄りながら彼は瞬きをする。
彼の小さな仕草の一つ一つが、スローモーションみたいに私の目に焼き付いていく。
そっと手を私に伸ばして彼が言う。
「……行こう。昼休みだよ。
俺のお気に入りの店に連れて行ってあげるから」
「…ふじ…さ……」
彼は私の手をすっと握ると私を立たせた。
私達は周囲の注目を気にも止めずに手を握り合ったまま見つめ合った。