ケモノ女が愛するオトコ〜草食男子の扱い方〜


「…駄目ですよ、暴力は。
……女の子なんですから」

そう言って彼がフワリと笑う。

「………」

私は何も言えずにその笑顔に見入る。

やっぱり……駄目だ。
その目が…私を、おかしくする。
欲望の塊が心の中にじわじわと現れ始める…。


「…さあ。行きましょう。
あ、すみません、道を空けて下さい」

私の手を引いて彼は人垣をすり抜けていく。

……「てめぇの男なら初めからそう言えよ」

背後からボソッと桐山の声が聞こえた。

私の男?
ううん。違うわ。
藤崎は私のものではない。

無理だ、と彼は私を拒絶したのだ。


エレベーターの前まで来た時、私は彼の手をバッと振り払った。

「?…沢森さん?」

彼は私を見下ろして不思議そうな顔をする。


「……私に…優しくなんてしないでよ。
また…勘違いするから。
あんたを自分のものに、したくなる。

どうでもいいなら放っておいて」





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