ケモノ女が愛するオトコ〜草食男子の扱い方〜
……最後の賭けだ。
彼の真面目で誠実な心に訴える。
私にはもう、藤崎を引き止める材料がない。
私は拳を固く握りしめ、俯いたまま彼の返事を待った。
………。
彼は……何も言わない。
しばらく待ったけど、藤崎の声は聞こえない。
……これが答えね。
もう、私にはいい加減愛想を尽かせたのだろう。
最後にはトイレで乱闘騒ぎだもんね。
自分でも呆れるわ。
………ふわっ。
その時、背後から優しく包まれて目を開く。
「!!!」
「意地っ張りな人ですね、本当に。
……行ってほしくないのなら素直にそう言うんですよ。
あなたのお願いなら……断るはずがないのだから」
耳の側で藤崎がそっと囁く。