陽だまりの君
今日も私は男の子のいる校舎裏に足を運ぶ。


今日の天気も気持ちがいい。私はいつも通りに窓を開けた


「こんにちは」


……起きてる。
いつも寝てるのに起きていた。何か眠れない理由でもあるのかな?


私は挨拶を返してないことに気づいて慌てて


「こんにちはっっ」

と言った。
男の子は昨日と同じくあぐらをかいて壁に背中を預けている


男の子は小さく笑っていた


「今日も日向ぼっこ?」

不意にかけられた声に驚いてバッと男の子をみると男の子は座ったまま下から私を見上げていた


「日向ぼっこ……君は眠れないの?」

昨日みたいに目を細めて笑っていた

「名前、春だよ。別に?ただ君が気になっただけ」


私は春の笑顔にいちいちドキドキする心臓を気にせずはいれない


私のことを気にして起きてくれてたなんて嬉しかった。でも申し訳ない


「私は、千紗だよ。眠る時間じゃましてごめんね?」


自分一人の時間を好きな人も居ると思うし私は邪魔しただけだったのかもしれない


「何で謝るの?別に自分で起きてたかったから起きてただけだよ」


笑顔が優しい。
陽だまりは春の象徴みたいだった


私は何回か足を運ぶうちにもしかしたら言葉を交わすことで幻滅してしまうんじゃないかなと思ってた


でもそれは間違いで


私は春をもっと好きになった。だけどこの言葉は言えない


好き……何て。
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