片翼の天使たち~fastlove~
「って、私なんて話してんだろーね!バッカみたい。遥翔、送ってくれてありがと」
「おい待てよ!サクラ!!」
振り返らず
遥翔の声に、足を止めることなく、私は家の中へと駆け込んだ。
ドアの鍵を閉め、その場で泣き崩れた。
床にポタポタと涙が落ちる。
……唇を噛み締めて、今日付け替えられた特進クラスのネクタイをギュッと握りしめた。
私…なんで話しちゃったんだろう。
話さなければ、よかった…。
あんなこと話されたって、遥翔は困るに決まってるのに。
遥翔…私、あんたのこと嫌いよ。
大っ嫌い。
お金持ちで、自由に暮らしてきた、なにも知らないあんたなんか大っ嫌い。
でもね……
あんたの隣は、悔しいほど安心できたよ___。
自分の意見がハッキリしてて、ふとしたところで優しくて。
私自身、自分でもビックリするくらい素直に話せた。
私ね…
そんなあんたが、悔しいほど羨ましいよ___。