片翼の天使たち~fastlove~
翌日、目が覚めると私以外誰もいない部屋が、久しぶりに泣きたくなるくらい虚しいと感じた。
少し緩んだ目元を擦りベットから起き上がる。
なんだか、今日はボーっとする。昨日のことがあったからだろうか…。
それより、昨日のことは本当に起こったことなのかな。
まるで、夢を見ているようだ。
体が重い
瞼が重い
そしてなにより、心が重い。
何年焼いても焦がしてしまう食パンを頬張りながら、深いため息をつく。
制服の特進クラスのネクタイが、昨日のことは夢じゃないとハッキリ私に訴えかけてくる。
秘書って何?
一体なにをやらされるの?
私は今日から特進クラスの門をくぐらなくてはならないの?
そんな現実、急すぎて頭が痛い。
夢ならいいのに。大っ嫌いなあいつのもとで過ごすなんて、虫唾が走る。
私は食パンを口に放り込むとカバンを持って家を出た。
いつもは長く感じる通学路も、行きたくないからか…、とても近く感じた。
普通かと特進クラスで別れている2本道の前で、私は足を止めた。
遥翔…どういうつもり?
私なんか秘書にして。私はあんたに逆らったのよ?
怒ってるんじゃないの?嫌ってるんじゃないの?
___…あぁ、だからか。
私を嫌ってるからこそ、傍に置いてイジメタ押したいわけね。
私は勝手にそう解釈して、奥歯を噛み締めてから特進クラスの門をくぐった。