片翼の天使たち~fastlove~
って言っても、私はどうすればいいの?
私のクラスはどこ?
「……」
明らかに浮いてる私の容姿。
私は1人、生徒会室のまえで何もせずにたたずんでいた。
「アンタ、誰?」
低くくもなく、高くもない、色っぽい声で私は顔を向ける。
そこには、息を飲んでしまうほど綺麗な男の人が立っていた。
「俺らの城になんか用?」
顔色1つ変えず、淡々と話す彼。
「もしかしてアンタ?遥翔が雇った秘書って」
チャコールブラウンの綺麗な髪を片手でかきあげながら、めんどくさそうに彼は言う。
雇ったって…、雇われたくて雇われた訳じゃないけどね。
「井本桜羅です」
一応頭を下げると、彼はフッと鼻で笑った。
な、なんだこの人。
鼻で笑うって…、しかも初対面の人に、失礼でしょ。
「ああー!唯!!!」
耳をつんざく様な声が聞こえて、片目をつぶる。
唯(ゆい)そう呼ばれたのは、紛れもない、私の前で片足に重心をかけて立つ彼だ。
「やっと学校来た!」
「うっせーよ、透」
___唯?
聞き覚えのある名前に、記憶を辿った。
あ…。
昨日、遥翔たちが話してた人だ。
この人が……唯。
どこかで見たことあるような…でも、気のせいだよね。
こんな綺麗な人、会ったら忘れられないと思うし。
「あ、桜羅ちゃん来てたの?」
「うん」
だってこのリボンじゃ普通科には入れないでしょ?
そう言いたかったけど言葉を飲み込んだ。