片翼の天使たち~fastlove~
「で。遥翔急にどうしたの?」
『あぁ。スミレのことなんだけど、今日話すから』
私の心臓が大きく波打つ。
スミレ、その名前を聞くだけで、不安が募る。
そうだ…スミレ。
幸せすぎて、忘れてた。
遥翔の彼女……
私の親友
萩野スミレの存在を…____。
話さなくちゃいけない。
そっか…。
私、向き合わなきゃいけないんだ。
スミレと逃げずに、話し合わなきゃいけないんだ。
「そ…だよね。私も行く」
逃げられない、絶対に。
スミレとの仲が、崩れてしまうかもしれない。
『…そうか。なら、昼休みに南渡り廊下に来て。スミレは俺が呼ぶから』
「うん。…分かったよ」
『じゃあ、また後で』
___プツンと電話が切れて
画面をボーっとただ見つめた。
重くのしかかる、現実と言う重みは
思った以上に苦しい。
数十秒の沈黙の後、私は制服に着替えた。