片翼の天使たち~fastlove~
「嫌い。あんたなんか、嫌い」
「知ってるけど」
「だったら、なんで…っ!」
声が震えて、言葉を繋げない。
涙を堪えるので必死で、なりふりなんて構っていられない。
「お前が、無理してっから」
「…もっと、意味不明……」
私が無理してる?
してるよ…。してなにがいけないの?
しなきゃいけない人間だっているんだよ。
我儘が通らない人間だっていんだよ、アホ……。
「なんで、私があんたの前で泣かなきゃいけないわけ…?論外なんだけど、ホントありえない。……優しくしないでよ。」
強がってなきゃ、壊れそうで。
不思議な雰囲気とオーラを纏う遥翔に、飲み込まれてしまいそうで。
__必死だった。
生徒会長。
お世辞でもそうは思えない遥翔の外見。
でも、何も知らない私にだって分かるんだ。
なんでこいつが慕われているかって。
憧れるんだ。
こいつの、生き方に……。
私には翼が片方しかない。
折れてしまった、儚い翼。
傷つき、ボロボロになった翼は、戻すのなんて不可能で。
でも遥翔は……遥翔に任せたならまた飛べる。そんな錯覚を犯してしまいそうなほど、遥翔の存在は大きい。
“愛”なんていらない。
1人で生きていける。
偽りもなく、そう言えたならどれだけ楽だろう。
___私にはできない。
私はそんなに強くない。
出来るものなら、誰かに頼りたい、甘えたい…。