片翼の天使たち~fastlove~
「あ、井本」
さっさと席に浮いてしまいたかったのに、先生に呼びとめられてしまった。
「なんですか?」
「お前たしか萩野と仲が良かったな。」
「えぇ、まぁ」
うわ…、なんか嫌な予感がする。
「あとで萩野と一緒に在庫整理をしてほしいんだが」
「え……」
「なんか不都合なことでもあるのか?」
…最悪だ。
今日は生徒会のこれといった仕事も残っていないし
3人での話し合ったあとは、もう暇だ。
仕方ない…。
「分かりました。場所はどこですか?」
「第3資料室だ。」
私はまた、分かりましたとだけ言って先生の隣を横切った。
私はこの日、最後の授業が終わるまでずっと上の空だった。
授業もまともに聞かず、ノートもきちんと取らず
ただ、今日の放課後のことだけを考えてボケーと意識を飛ばしていた。
途中、クラスメイトに頼まれごとをされたりもしたけど
スミレと話さなくていい、口実になった。