片翼の天使たち~fastlove~
__初めての想い__
やば……。
授業がすべて終わり、私はケータイを開く。
ありえないほどのメール件数…。ここ5時間の間になにがあったの、美羽…。
120件ものメールは全部、美羽からだった。
さすがに怖いって……。
1つ1つ確認していくと、内容は全部同じ。
__“特進クラス行ったの!?”
そればかり。
そりゃ、ばれるよね。
学校行ってなきゃ。すぐに美羽にバレテしまうのは分かってた。
それでも私がギリギリまで言わなかったのは、余裕がなかったからだ。
仕方ない。
遥翔に事情説明して、今日は美羽と話そ…。
生徒会室の前で立ち止まり、少しドキドキしながら指紋認証システムに指をかざす。
さっき遥翔に私でも鍵が開けられるようにしてもらったんだ。
すぐにドアは自動で開いて、中に入る。
すると中から聞こえる、なんとも賑やかな声。
「利一、それ反則!」
「トランプに反則もなにもねーよ♪」
ドアを開けると、みんなでトランプをして楽しんでいるようだった。
…ここは仮にも生徒会室。
私、頭可笑しくなったのかも。いつもならイラッとくるのに、なぜか笑えた。
「おー、桜羅じゃん!」
透くんが私に気づき大声をだすと、みんなの視線が集まった。
「桜羅もやるか?」
「遠慮しとくよ」
ひなたに誘われたけど、私はカバンを置いてソファーに座った。
トランプを楽しむ透くんと利一とひなた。机の上でなにか必死に書いてる遥翔。
1人、ベットで気持ちよさそうに眠っている唯。
ここのメンバーはみんな個性派だ。
私はフッと笑ってから、遥翔の横に立つ。
でも、すごく真剣なのか、遥翔は全く私に気づかない。
ちょっと悪戯心が芽生えた私、遥翔の背後に回って脇腹をくすぐった。
「__っ!?」
「あははっ!!」
遥翔は、それこそ声には出さなかったものの、悔しそうに、だけど笑いながら私を睨むように見ていた。
「笑うんじゃねぇよ、サクラの分際で」
「どんな分際よ」
声を出して笑ったのは、何年振りだろう……。
本当に久しぶりだった。
…はずなのに、びっくりするくらい自然に笑えた。