片翼の天使たち~fastlove~
美羽には明日話そう。丁度学校も休みだし…。
「ねぇ、明日みんなで遊びに行かない!?」
急にそんな提案を出したのは、お調子者で天真爛漫な、ひなた。
それに便乗するかのように、透くんと利一が賛成する。
明日って……私、いつ美羽に話せるんだろう。
「勝手に決めんなよ、ひなた」
「なんで怒るんだよ遥翔。お前も行こうぜ」
「…勝手にやっとけ」
そう答えた遥翔。
「イエイッ」と声を出すひなたを見る限り、OKってことなのかな。
だけど、唯は…?
さっきから唯は話に参加しようとはしない。
私の意識は美羽から遥翔へ、遥翔から唯へと飛んでいた。
ねぇ、唯…
あなたは“愛”を知っていますか…__?
「唯」
空の彼方を見つめる唯の前で手を降る。
不機嫌そうに、表情1つ変えず唯は私を見た。
「唯は明日行く?」
私は唯に聞いたのに、
「唯は来ねーだろ」
答えたのは利一だった。
「なんで?」
「唯は昔から俺らと一緒に出掛けたことねぇんだ。」
「…そーなんだ」
利一の話を軽く流す。
気づいてしまったんだ…。利一がそう話した時に唯の顔が一瞬曇ったのを。
触れちゃいけない、直感的に感じた。
唯は…とっかかりがなくて、ミステリアス。
私もそんな分類に入る人なんだろうけど、心を許した人とは話せる。
クールって人は唯のことを言うかもしれない。
だけど、私は違うと思う。
だって私と似ている気がするんだ。
自分を強く見せることで、偽りの自分を守ろうとしている…。