片翼の天使たち~fastlove~
「あれ、唯どっか行くのか?」
「あぁ、ちょとな」
そう言い残すと、唯は生徒会室を出て行った。
唯を飲み込んだ大きな扉を見つめる。唯は華奢な体で、大きな悩みを持っているように見えた。
それは、私だけなのかな……___。
私はしばらくボーっと立っていると、透とひなたに手招きされた。
「桜羅、明日のこと話そうぜ」
遥翔を中心に作られている輪。
その中には、当たり前だけど唯はいない…。
「…うん」
私は少し戸惑いながらも、遥翔の隣に立った。
「明日どこ行くかー」
なんか、もうみんなの中では決定っぽいなぁ。
美羽に説明できないや。今日電話すればいっか。
「俺さー、1度遊園地行きたかったんだよな!」
ひなたの提案にみんなが頷く。
「遊園地!?行きたい!!」
行ったことなんて、無い。
遊園地なんて遠い夢の中のお話だったから。
「桜羅が言うんだし、いーんじゃん?」
利一がまとめ、みんなで遥翔を見る。
最終決定は、たぶん遥翔。
「…別に、勝手にしろ」
「よっしゃぁ!」
「珍しいじゃん、遥翔がいいよって言うなんてよ」
「ほっとけ」
遥翔は恥ずかしいのか、顔をほんの少し赤くしていた。
そんな遥翔が可笑しくて、私は___笑った。