片翼の天使たち~fastlove~
「帰りますか」
時計を見ながら透くんは言った。
結局、唯は戻ってこないまま…下校時間を迎えてしまった。
「唯を気にしてんのか?」
「えっ」
心の中を遥翔に当てられて、思わず声が裏返る。
私の態度で分かってしまったのか、遥翔はおもむろに私の頭を撫でた。
「大丈夫だよ、あいつなら。マイペースなだけだから」
「別に、気にしてないし…」
「あっそ」
強気で言い返すと、強気で返ってくる。
それがやけに面白くて、私たちはくだらないことを繰り返していた。
こんなに笑ったのは、何年振りだろう…__。
今日はたくさん笑ったな。
はしゃぐことも
話しを合わせることも…吐き気がするほど苦手だった。
だけど今は、話すことも笑うことも、みんなではしゃぐことも楽しく思える。
話しを合わせてるつもりなんてない、私が自然体でいられるんだ。
初めての想い
初めての感情
久しぶりの笑み……
大っ嫌いな人たちの集まるこの場所は、私の新しい居場所なのかもしれない。