片翼の天使たち~fastlove~
私はカーテン閉めると、胸を押さえて座り込んだ。
別に特別な誰か1人に想いを寄せたわけじゃない
そんなんじゃない…
ただ、惹かれてる
ただ、憧れてる
今日見た、あの人たちの優しい笑顔に。
なのに、深入りできない。
生徒会の秘書、突然そんな重たい役を任されて
ただでさえ混乱してると言うのに
___深入りなんてしたくない
裏切られるのが怖い
私は幼いころからずっとそうだ
裏切られるのが
嫌われるのが
怖いから
いつでも1人でいて
なるべく誰とも話さないで
全ての人と一線を引いていた
今だってそれは同じ
自分を好きになれない私が
自分を大切に想えない私が
大切なモノなんてつくったら、傷つけてしまう
それなのに、私が彼らの部屋の今日行ったのは
“好奇心”
そんな軽い気持ちだったのかも、分からない。
ねぇ、信じていい……?
人をもう1度、信じてみたくなった。
私は胸の前で握りしめた手を開く。
コトンと、また私の首にあたるネックレス…。
これは、お母さんが私がまだ幼い頃にくれたネックレス。
唯一もらったものだ。
今でも忘れはしない。
この片翼の形をしたネックレスをあげた少年のことを…。