片翼の天使たち~fastlove~
「ごめん、待った?」
いつもよりちょっと大人っぽいメイクをして、少し背を高く盛って。
私は待っててくれた遥翔たち4人の元へ行く。
「うお、化けた」
「うっさい!」
いきなり「化けた」って、失礼でしょ、まったくひなたは。
「そこのバカ2人。行くぞ、唯が待ってる」
「え?唯来るの?」
「強制連行」
あ…。
そうですか。そういうパターンですか。
__唯。
その名前を聞くと、少しだけ胸が苦しくなる。
昨日の切なげな表情と、そっけない態度がやけに記憶に鮮明に刷り込まれている。
ここにいるメンバーは、口が悪くて強引な遥翔を筆頭に結構みんな明るいのに。
私だって嫌いだった。
でも、見る見るうちに飲み込まれて、2日も経てばすっかり生徒会色に染まってしまった。
自然に会話ができる。
自然に笑顔が生まれる。この人たちはみんなそんな人。
「着いた」
遥翔の声に顔を上げる。
車のフロントガラス越しに見えるのは、大きな高層マンション。
ここが、唯の家…。