片翼の天使たち~fastlove~
「俺とサクラで行くからお前らは留守番」
「へっ!?」
私!?
遥翔はさりげなく私の手をとり、車の鍵を閉める。
振りかえると、3人は気楽に手振ってるし。
「サクラ、30階押して」
「30!?」
驚きのあまり大声を出した私に、嫌そうな顔をする遥翔。
「お前、声デカすぎ」
「だ、だって…」
聞きなれないじゃん。30階なんて。
私の家なんて2階建てだし。
「ほら」
遥翔に言われた通り30階のボタンを押すと、エレベーターは急上昇。
こんな速いエレベーター乗ったことないし。
あっという間に30階。
「行くぞ」
扉が開くと、広がる景色は見たこともないような、生徒会室より大きな扉。
ここ、マンションのはずなのに…。
なんで一室しかないわけ??
唖然としてる私に、バカにしたように遥翔は笑った。
「ここは全部唯の家。あいつの親父さんが経営してるからさ」
あ…。なるほどね。
でも普通に理解できないよ。