片翼の天使たち~fastlove~
「なぁサクラ」
「なに?」
真剣な顔しちゃって…。
遥翔の漆黒の瞳がハッキリと私を捕える。
息を飲みこむ。吐く息も遠慮してしまうくらい、彼の瞳は真剣で。
…思わず声が上ずった。
「パンツ」
「へっ?」
「パンツ見えてる」
「!!」
どこでひっかけたのやら…。めくれていたスカートをバッと隠して遥翔を睨む。
こいついつから気づいてたの…!?
「気づかないとか、バーカ」
爆笑すんな
気づいてんならさっさと教えろよぉ!!!!!
「ハハッ!間抜け面、クッ…サイコー」
最悪!!!!
爆笑されるわ、鼻で笑われるわ、喉鳴らされるわ。
「…性悪男が」
「どうぞ、ご勝手に」
営業スマイルともいえるコヤツのうさん臭すぎる笑顔。
でもキラキラしてるからムカつく!!
「はぁーっ!もぉいい!!」
盛大にため息をついて、私は勝手に歩き出した。
もういい!もう知らない!!
「先に戻ってるから!!」
怒りマークをあしらいながら、ドスドスと音をたてる様に歩く。
また後ろで遥翔が笑っていた気がするけれど、知らないフリ。
さっき乗ったばかりのエレベーターに乗り込み、閉じるのボタンを押そうとしたときだ。
__ガタンッ!!
大きく揺れた、エレベーター。
なに!?地震!?
ヤダッ、メッチャ怖いんだけど!!
ギュッと目を閉じ、止まるかもしれないエレベーターの恐怖。
必死で開くのボタンを押しつでける私。