片翼の天使たち~fastlove~





「なぁサクラ」

「なに?」



真剣な顔しちゃって…。



遥翔の漆黒の瞳がハッキリと私を捕える。

息を飲みこむ。吐く息も遠慮してしまうくらい、彼の瞳は真剣で。

…思わず声が上ずった。




「パンツ」

「へっ?」

「パンツ見えてる」

「!!」




どこでひっかけたのやら…。めくれていたスカートをバッと隠して遥翔を睨む。

こいついつから気づいてたの…!?




「気づかないとか、バーカ」




爆笑すんな
気づいてんならさっさと教えろよぉ!!!!!




「ハハッ!間抜け面、クッ…サイコー」



最悪!!!!

爆笑されるわ、鼻で笑われるわ、喉鳴らされるわ。




「…性悪男が」

「どうぞ、ご勝手に」




営業スマイルともいえるコヤツのうさん臭すぎる笑顔。

でもキラキラしてるからムカつく!!




「はぁーっ!もぉいい!!」




盛大にため息をついて、私は勝手に歩き出した。

もういい!もう知らない!!




「先に戻ってるから!!」




怒りマークをあしらいながら、ドスドスと音をたてる様に歩く。

また後ろで遥翔が笑っていた気がするけれど、知らないフリ。




さっき乗ったばかりのエレベーターに乗り込み、閉じるのボタンを押そうとしたときだ。





__ガタンッ!!




大きく揺れた、エレベーター。



なに!?地震!?
ヤダッ、メッチャ怖いんだけど!!



ギュッと目を閉じ、止まるかもしれないエレベーターの恐怖。


必死で開くのボタンを押しつでける私。




< 33 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop