片翼の天使たち~fastlove~
「桜羅、お前気に入られてるな」
「……は?」
唯は笑うのを止め、私の背中へ問いかけた。
優しい口調で、穏やかに。
「気に入られてるって…、むしろその逆でしょ」
遥翔、私に意地悪しかしてこないし。
無駄がらみがやけに多いし。
「っていうか、私は遥翔のこと気に入ってないし」
ただ、憧れてるだけだし。
あの自由な笑顔に
憧れてるだけ____。
「そうは見えないけど?」
「それ、どういう意味…?」
「言えないけど、それは桜羅次第」
意味深な言葉を最後に、1階へついたエレベーター。
「着いたけど?」
涼しい顔して唯は、エレベーターから降りる。
あの言葉の意味を教えてくれそうもなかった唯。
私も仕方がなくエレベーターを降りた。