片翼の天使たち~fastlove~
「うん。協力する!スミレなら大丈夫!!」
私、最低。
こんなこと言っておきながら、知ってる。
遥翔が…スミレを切り捨てること。
「ホント!?やったぁ。」
言えない…。
言いたくても、どっちも言えない。
私も遥翔が好きだということも
遥翔が誰も愛さないということも
無邪気に笑うスミレには、言えない。
一体私は、どうしたらいいの…っ。
スミレが遥翔を好きだと言って
激しく動揺してる。
この友情を捨てたくないなら、言わなきゃならないのに。
今の私には、そんな勇気がない。
「あ!今日さー、生徒会室連れて……「ごめん!スミレ!!私ちょっとトイレ!!」
「え?あ、うんっ。行ってらー」
私はスミレの言葉をさえぎって、教室を飛び出した。
どうしたらいいのか、全然分からない。
昔の私ならきっと、分かってた。
こんなときもきっと、冷静でいられた。
でも、今は無理___。
私は涙を拭う余裕もなく、ただ逃げていた。