片翼の天使たち~fastlove~
ま、いっか。
あんだけ遥翔が言ってるんだし。
あたしはテレビでも見よー……
___ガッシャーン
うわぁ…今、嫌な音がしたんだけどー。
「遥翔?大丈夫?…って、盛大に割ったね」
キッチンまで急ぐと、2~3枚のお皿が割れていた。
その欠片を拾い集める遥翔は、なんだかとっても申し訳なさそうだった。
「わりぃ…。」
「いいよ、気にしないで。」
「でも…っ、色違いで3枚あった皿の1枚、割っちまった」
___ドクンッ
「わ、私も片付け手伝うよ」
「あぶねぇから、サクラはやんなくていい」
「え…でも……」
「いいから。もうヘマしたりしねぇよ」
「じゃ、ここで見てる」
「おぉ、そうしとけ」
キッチンの入り口の柱に立つ。
遥翔…細かいガラスまで拾ってる。
自分の指まで切っちゃったらどうするんだろう。
そんな食器……掃除機で吸い取っちゃってくれればいいのに。
「なぁ、サクラ」
「なに?遥翔」
「このピンクの食器、大事なモンだったんじゃねーの?」
___ドクンッ!!
「そ、…ゆうわけじゃないから。もうすぐ捨てようと思ってたし!それに……」
このピンクの食器は、お母さんとお父さん、それに私でお揃い。
家族で初めてのお揃いのモノ。
「それに……私には食器の数が多いからさ。割れてくんないと減らなっくて!」
「嘘つくの、下手すぎだろ」
遥翔の低くて、でも優しい声が耳に届く。
「ごめん。思い出壊して……ごめんな」
「気にしてないし…」
遥翔は私の頭を1度だけ撫でると、ごみを捨ててからキッチンを出て行った。