片翼の天使たち~fastlove~
別に…壊されたわけじゃ、ないのに……。
私たちの家庭は
私の家族は…最初から無かったんだよ。
「サクラ?俺、帰るな」
「あ、うん。じゃあね」
「明日は学校来いよ。みんな寂しがってた。…な?」
遥翔の言葉に
胸がどうしようもなく熱くなる。
そして、泣きたくなる。
「遥翔、今日はありがと。楽しかった」
「俺も。貴重な料理体験だった」
ハハッと笑う
あなたの笑顔がまぶしい。
「ねぇ、遥翔。」
やっぱり私、このままじゃいけないとおもう。
だから……
「春風祭のとき、話があるの」
「ん。分かった」
私はあなたに想いを伝えます。
「また明日な」
遥翔の姿が消え
私は床に座り込んだ。
無表情な頬の上を
涙が通っては乾き、通っては渇きをただ繰り返す。
ありがとう、遥翔。
楽しかったよ……。
たった
たったの数時間だったけど。
恋人同士みたいな、この時間
すごく、すごく……楽しかったよ……。
___〝好き〟って言ったら
もう、〝バイバイ〟の合図だね。