片翼の天使たち~fastlove~
「サクラ!次サクラのやってあげる、おいで!」
コテを持つスミレに呼ばれ、ハッとした。
私は小さく頷き、スミレの元へ歩く。
ここで躊躇っても変だ。
スミレが不審がるだけ。
「サクラはやっぱブラウンだよね!髪のけがブラウンだから。超可愛くしてあげるっ!!」
私はスミレに言われるがまま椅子に座る。
スミレは私の髪を人撫ですると、コテでくるくると巻き始めた。
髪なんて、巻いたことがない。
お化粧だって、ろくにしたことがない。
ホント、自分の女子力の低さに呆れる。
「うわっ!サクラの肌、超綺麗!!ヤバい!!ってか、ズルい!!」
「そんなことない。スミレのほうが綺麗だよ」
髪を巻き終わったのか、私の顔をまじまじと見つめるスミレ。
「ファンデはいらないね。アイメイクとグロスだけにしよっか♪」
「スミレにお任せします」
「任せてっ!!」
ねぇ…もし。
もしも、スミレにバレてしまったら……
私が、遥翔がそういう人だと知っていたって
バレてしまったら……
私たちはもう、こんな風に友達ではいられなくなるのかな…__。
そのことがどんなことよりも、怖いよ。
「サクラ、目閉じて」
私は、そっと、目を閉じた。
これが終わったら、遥翔のところに行かなきゃ…。
遥翔…
今、なにをしている?
誰のことを考えてる?
……すごく、もどかしいよ。