片翼の天使たち~fastlove~
「ハイッ!完成!!」
明るい声と共に、ポンッと肩を叩かれて目を開ける。
目の前にある鏡に映っていた自分に、驚いた。
「だ、誰これ…」
鏡に映っていたのは…まるで別人のような私。
自分だって分かるけど、「誰?」そう言わずにはいられない程、大変身してた。
ブラウンとクリーム色が絶妙にマッチしたアイメイク。
ふんわりゆるく巻かれた、私のブラウンの髪。
唇はうすピンクのグロスを塗られていた。
「誰って、サクラだよー!」
「嘘」
自分の顔をペタペタ触ると
鏡の中の人も、同じ場所をペタペタ触る。
…ホントに私なんだ。
「別人みたい…」
「どうよっ、あたしの腕!」
「すごいよ!スミレ、プロみたい!!」
「まぁ、一応そうゆう系志望ですから?」
得意げに腕を組むスミレに
今日初めて作り笑いじゃない、笑みが零れた。
「やっと笑ったねー」
「え?」
「サクラさ、昨日からずーっと浮かない顔してたから。ちょっと心配してたんだよね。元気になってよかった!!」
「スミレ……」
知らなかった…__。
「げっ!泣かないでよサクラ!!メイク落ちるしっ!!」
「う、うん…。ごめ…っ、ありがとぉ」
そんな風に思っててくれたんだ。
やっぱり私、スミレを応援する。
遥翔のことは、好きだけど…
どうせ切り捨てられるから
とか、そんな理由じゃなくて。
ただ純粋に、スミレの幸せを願いたい。
だってスミレは、私の大切な友達だから…___。