片翼の天使たち~fastlove~
「あ!そういえば、遥翔は?」
「あー、遥翔なら奥のベットで寝てるけど」
「わかった、ありがとっ!」
「おぉ、じゃあな」
2人に手を降り、私は速まる鼓動を落ち着かせようと、深呼吸しながら奥のベットまでゆっくり歩く。
スーっという寝息が耳に届いた。
ベットに視線を移すと、少し布団を乱しながら寝ている遥翔がいた。
遥翔って意外と寝相悪いんだな…、なんて思いながら、ホントはあなたの顔を見つめていた。
…早く起こして、誘わなきゃいけないのに。
やっぱり遥翔を好きな私は、もう少しだけ
この2人だけの時間が欲しいって思ってしまう。
やっぱり、好きが溢れ出してしまいそう…。
ダメ…なのに。
私の右手が、遥翔の髪に触れた。
真っ黒で、脱色してない。
痛みなんてしらないような、サラサラの髪。
イヤ…だよ。
例え、遥翔がスミレの告白を断ったとしても複雑なんだもん。
ホントは…遥翔にこのことを伝えないでおきたい。
そしてスミレには、「遥翔、来なかったね」って、言ってしまいたい。
だけど
そんなことをしたら、誰が傷つくかくらい、痛いほど分かっているから…。
だから……
「遥翔。ねぇ…遥翔起きて」
私はあなたに
伝えなければいけない。
遥翔をスミレの元へと繋ぐ、残酷な伝言を。