片翼の天使たち~fastlove~
「…んっ。誰だよ…」
寝ぼけているのか、遥翔は目を薄ら開けながら
「私。桜羅だよ」
「…サクラ?」
ゴロンと寝返りを打って、私の名前を呼んだ。
「お前、今日イメージちがくね?」
寝ぼけてるのか、いつもより優しい口調の遥翔。
不意に触られた髪。
ピクンッと体が大きく反応してしまう。
「すげー綺麗」
___私に向けられた、遥翔の視線。
心臓が壊れてしまいそう。
鼓動が髪の先から伝わってしまうんじゃないかって、心配してしまうほど早い。
あなたの熱で、頭が可笑しくなりそう。
「ちょ…寝ぼけてないで起きてって!!」
「イッデッ!!!」
ホントは…続いてほしいって、願ってたくせに。
私は遥翔の頬をつねった。
今の私の一撃で完全に目が覚めたのか、遥翔はいつもの遥翔に戻っていた。
イッテ―って、私につねられた頬をさすりながら。
「お前手加減しろよなぁ」
「遥翔が寝ぼけてるから起こしてあげたの!優しいでしょ?」
「…鬼」
「うっさい!!」
ほら…あなたが、笑ってる。
こんなに近くで
2人きりの部屋で
あなたを1人占めできてる。
例え…
例え……あなたの特別になれなくたって。
私は確かに、あなたの瞳に映ってる。