片翼の天使たち~fastlove~





「…んっ。誰だよ…」



寝ぼけているのか、遥翔は目を薄ら開けながら



「私。桜羅だよ」

「…サクラ?」




ゴロンと寝返りを打って、私の名前を呼んだ。




「お前、今日イメージちがくね?」




寝ぼけてるのか、いつもより優しい口調の遥翔。




不意に触られた髪。

ピクンッと体が大きく反応してしまう。




「すげー綺麗」






___私に向けられた、遥翔の視線。



心臓が壊れてしまいそう。


鼓動が髪の先から伝わってしまうんじゃないかって、心配してしまうほど早い。





あなたの熱で、頭が可笑しくなりそう。






「ちょ…寝ぼけてないで起きてって!!」

「イッデッ!!!」




ホントは…続いてほしいって、願ってたくせに。


私は遥翔の頬をつねった。





今の私の一撃で完全に目が覚めたのか、遥翔はいつもの遥翔に戻っていた。




イッテ―って、私につねられた頬をさすりながら。





「お前手加減しろよなぁ」

「遥翔が寝ぼけてるから起こしてあげたの!優しいでしょ?」

「…鬼」

「うっさい!!」




ほら…あなたが、笑ってる。



こんなに近くで

2人きりの部屋で


あなたを1人占めできてる。





例え…

例え……あなたの特別になれなくたって。






私は確かに、あなたの瞳に映ってる。






< 92 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop